矢原 繁長 展

Shigenaga Yahara Exhibition

2020/09/26 - 2020/10/10

言葉の可能性を芸術の領域に昇華させる営為の数々

自らの詩を鉛と鉄で封印する。それは芸術の原風景を取り戻す行為である。

文学と詩の限界を突破しようとする詩人は、「芸術を深化させる」という意図のもと、自らの言葉を否定してみせる。一見、矛盾したその創作姿勢こそが絵画とオブジェに「崇高な美」を付与することとなる。作品「詩集封印2020」・・・それは、現代美術家・矢原繁長が到達した普遍の境地を示唆するものである。

「アウシュビッツ以後、詩を書くことは野蛮である。」・・・アドルノのその言葉は現代においてこそ再考されるべきである。SNSでは、その場限りの短いフレーズが飛び交う。そんな中、文学、あるいは詩は、その成立基盤を失った。そして、そんな現状を憂える言葉にも、もはや説得力はない。ここで必要なことは、現代への問題提起を行うための自己犠牲である。

詩人としての矢原が詩を書き、美術家としての矢原が、それを金属で封印する。その行為は現代を見つめる正確な眼と深い思考に支えられている。その自己犠牲の精神から制作されたオブジェ「詩集封印」は、至高の美しさに充ちている。

会期
2020年9月26日(土)~ 10月10日(土) 午前10時~午後6時(水曜・日曜 休廊) ※27日(日)は営業します。
Exhibition Period
Sep 26 (SAT) - Oct 10 (SAT) 10AM - 6PM (Closed on WED and SUN)
作家在廊日
2020年9月26日(土)・27日(日) 午後2時~5時
Artist in Gallery
Sep 26(SAT) - 27(SUN) 2PM - 5PM
会場
川田画廊
Exhibition Gallery
Kawata Gallery